肩こりとの闘い③

きれいな店構えと上品な味が売りのラーメン屋よりも、小汚い中華料理屋の味の濃いラーメンのほうが印象深かったりする。
大人にいい顔しぃの学級委員よりも、多少手がかかるけど人懐っこい「ちょいワル生徒」のほうが先生には可愛がられます。わたしは前者でしたが。

マッサージ系のお店も、クセがあるほど愛着が湧いてしまうものです。
肩こり解消のために悪戦苦闘してきた約20年の中で、足を運んだお店を紹介する謎シリーズ。
3回にわたって続けてしまった「肩こり三部作」も、ついに最終回です。

よいお店か否かを判断するにあたって重視している基準は以下の4点ですが、実は「おもしろさ」が自分にとって一番比重が大きいのかもしれない。
今回紹介するお店に足繫く通った日々を振り返ると、そう思わずにはいられません。

1.利便性:通いやすさは大切。
2.価格:避けては通れないお財布事情。
3.腕前:施術時の気持ちよさや、翌日の揉み返しの有無などが判断基準。
4.おもしろさ:お店も凝りも、クセが強いほど愛おしい。それが肩こり道である。

ギャンブル性の高いC店(仮称)

以前、一人暮らしをしていた家の近くにあったC店。

価格は60分約3000円で、スタンプカードが貯まると1回無料になるので、地道に通っていました。
このお店の素晴らしいところは、午前2時まで営業していること。
会社員時代は仕事が忙しく終電で帰ることもしばしばでしたが、それでもC店は営業していました。
校了日の帰りに体をほぐしてもらうのが、当時のささやかな楽しみ。

C店は、ゲーム性(ギャンブル性)のあるお店でもありました。
人によって技術に大きくばらつきがあり、上手なスタッフに当たるかどうかは運次第。
ただ、下手だったスタッフも回を重ねるごとに上達していきます。スタッフの成長を感じた日にはちょこっと感動したり…。
人の入れ替わりが激しいため、このゲームはかなり頻繁にリセットされます。

店員さんは中国の方が中心なのですが、施術中はスタッフ同士ずっと中国語で雑談しています。それはもうよく喋る。
話の内容が気になって、何か悪口を言われているんじゃないかと不安になって、中国語を勉強しようかなと考えたこともありました。

一度だけ日本人スタッフが担当だったこともありましたが、施術中に寝るというなかなかアバンギャルドな方でした。
手が止まったかと思えば寝息が聞こえてくるので、全身を揺さぶって起こす。この繰り返し。

施術中にカタコトで話しかけてくるスタッフもいました。
「あなたは今、好きな人はいるの?」
「好きな人にちゃんと”好き”って伝えてる?」
と、強制的に恋バナをさせられて、距離感の詰め方がすごい。最終的には恋愛観について説教される始末。初対面のマッサージ店員に説教された人間は、世界中を探しても数えるほどなはず。
2回目に会ったときはほかのお客さんを施術していましたが、ニッコリ微笑みかけてくれました。
しかしその日以来、彼を見かけることはありませんでした。きっと恋愛カウンセラーに転職したのでしょう。

そんなこんなで5年もお世話になったC店。引っ越してしまったのでもう行くことはないけれど、ずっと忘れられないお店です。

利便性★★★★★
安さ★★★★
腕前★
おもしろさ★★★★★★★★★★

とりあえず、このシリーズは今回でいったん最終回です。
極めて個人的な話にお付き合いいただき、ありがとうございました。

最近は肩こりがひどくて頭痛がするくらいで、彼(肩こり)との関係はもうしばらく続きそうです。
フィリピンでもマッサージ店には頻繁に通っているので、「肩凝りとの闘い~フィリピン遠征編~」にご期待ください。

ここのところ雨天が多く、梅雨の足音が聞こえてくるようなので、今回の写真はカエルの像です。

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